10歳になるむすこへ

2018年4月10日
*by: | *cat: 子供たち

20171013

むすこは、今日から4年生。
どこへ行くにも肩車ではしゃいでいたヤンチャ坊主が、あと数ヶ月で10歳になります。
ということは、私たちが出会ってもうすぐ7年。

3年生を振り返ると、むすこと今までよりも色々な話をした1年でした。
友だちとのこと、先生とのこと、習い事のこと、
この年代特有の悩みが、一つ、また一つと細い体にのしかかり、
今まで見たことのない苦しそうな顔をたくさん見ました。

親が代わりに闘ってやる時代はもう終わったんや、と何度も思いました。
自分の力で人生と闘い始めたむすこに私がしてやれることは、そんなに多くない。
踏ん張りどころと逃げ道を示してやること、
対大人の場合は前に出て交渉すること、
そして何より、いつも味方でいること。

10代前半の、独特の閉塞感を久しぶりに思い返す。
小さな世界の中で自分がどんどん膨れていって、周りの空気が濃密になっていくような。
無防備で傷つきやすい存在がぶつかり合い、痛みとともに成長していく年代。

あんな時代を経ないと大人になれないなんて、なんと不器用な生き物かと思う。

なんて書いてみたものの、実は私自身は今以上に楽天的だったようで
記憶に残っているのは楽しいことばかりなんやけど。
でも、確かに問題はたくさんあったし、
子どもたちが10代に、そして中学生になることを考えると心配でそわそわしてしまいます。

3年生のむすこにも、変化はたくさんありました。
最近は、思い通りにならないとすぐにヘソを曲げてしまう。
私から見ると豆粒みたいに小さなことばっかりでも、
彼にとっては頭上を闇に覆われるような息苦しさを伴っているんやろうなぁ。

昨日の夜、布団の中で

「明日から4年生やな。たいへんなこともあると思うし、
何かあったらおかあさんにゆってな。おかあさんはいつも味方やから」

と伝えた。腕の上でむすこの頭が小さく頷いた。
口に出さなくても伝わる関係が一番いいのかもしれないけれど、
本当に伝えられているかどうかなんてわからない。

それに、口に出すことの大切さも感じてほしいと思って、
最近は自分の思いや考えを子どもたちに言葉にして伝えるようにしている。

それから、ここ数日気になっていたことを話した。

「妹たちのことひいきしてるって思ってるかもしれんけど、
いつもあんたのことが一番気になってるんやで」

と。それまで黙って頷いていたむすこが「なんで?」と声を出した。

むすこがふざけて私を「ひいきばばぁ」と呼んだことがあって、
その言葉がずっとひっかかっていた。
むすこは最近、年の離れた妹3人に反抗されたり邪魔されたりすることが続いて、
家族といる大半の時間をイライラして過ごしていた。
「こんな妹ばっかりの家いやや!」と泣くことも一度や二度ではなく、
妹たちを叩いたり怒鳴ったりする度に彼を叱る私に対しての言葉だった。

「一番上の、はじめての子どもやからかなぁ。一番、頑張らなきゃって思うよ。
おかあさんも一番上やから上のたいへんさもわかるけど、そこは得してると思うで」

と、思ったままを答えた。むすこは

「おとうちゃんも一番上や」

と小さな声で嬉しそうに言った。

結婚する時、自分の腹から産まれた兄弟ができたら、
むすこよりもその子を可愛いと思ったりするのかしらと一応考えたりもしたけど、全然ピンとこなかった。
そして、実際妹たちが産まれて4人兄妹になった今、4人への気持ちは全く同じ。
不思議なくらい、4人ともそれぞれ同じだけ可愛いのです。

正直なところ、私の腹の中で育って産まれてきたことや
血や細胞の成分が似通っていることによる絆が
むすめたちとの間にあるのかどうかもよくわからない。

ただひとつ言えるのは、私とむすこの間にはそういうものはないけれど、
代わりに、お互いがこの人間と家族になりたいと望んで親子になったという事実がある。
それは、質は違えど、強度においては血縁となんら変わりがないように思う。

そんなことを考えながら、むすこが眠るまでまだ軽い頭を腕に乗せていた。

この先、たいへんなんやろうなぁ、といううっすらとした不安の隣には
元気に大きくなってくれたことへの大きな喜びがあって、
複雑な感情の波に思わずひとりで涙した。

最近は、腹の上と左右に陣取る女子たちが眠った後、
そろりと布団を抜け出してベッドの端っこで毛布をかぶるむすこの隣に行くのが日課になっています。
彼が「みんながねたら来てな」と言うようになったのはここ数ヶ月のことで、
なんとなく心細かったり寂しかったりするのだろうなと思う。
あるいは、体の成長と共に、こんな風に母親に甘えられるのは今が最後だと
本能的に感じているのかもしれない。
だいたいむすこはもう寝てるんやけど、起きていたら少しだけ話してから眠る。
朝起きて「おかあさん、となりきた?」と聞かれたら、
眠ってしまって行けなかった時も「いったで、きづかんかった?」と答える。
そのやりとりが、大切に思える。

むすこは4年1組になったらしい。
「◯◯先生やで、あたりや!」と嬉しそうに話す顔を見て、私も嬉しくなりました。

これからまた色々あるやろう。
楽しいことも、辛いことも、感動も、悔しさも、喜びも悲しみも。

思う存分闘っておいで。

世界は広いし、あなたは自由だ。

2018年4月9日(月) おかあさん

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